第65回 写真道展 入賞作品・入選者発表

【総評】

3月初め、北海道は猛烈な春の嵐に見舞われました。各地で道路や交通網が遮断される中、数日後に行われた写真道展の審査ですが、多くの方のご尽力で厳正かつ順調に行うことが出来ました。
審査は応募総数が5,000点を超え、バラエティーに富んだ質の高い作品を楽しく拝見しました。

写真道展大賞に選ばれた輪島礼子さんの「落し物」は、靴だけがハッキリと写り、足から上がほとんど写っていないため浮遊感が生まれました。想像の余地があることで「なんだろう」と、この作品に対する興味が湧いてきます。全てをリアルに見せないことで、鑑賞者が色々な想像を楽しむことができるのも、写真表現の素晴らしさです。

部門ごとの感想として、第一部(自由)は、バラエティーに富んだ作品が多く集まりました。ただ、肖像権の問題もあり、やはり人の表情を捉えた作品が少なかったのは残念でした。
また、必要以上にシャープネスや彩度を上げた作品も多く、もう少し柔らかな表現にされた方が臨場感が増すと思います。
そして意外だったのが二次的画像の作品が少なかったこと。自由部門ですのでもっとアイディア満載の作品があっても良いと思いました。
第二部(観光・産業)は、テーマが難しいのかもしれませんが、もっと解釈に広がりがあっても良いと思いました。大きな産業だけでなく、小さな家内作業なども北海道の重要な産業の一部と捉えることは出来ると思います。また工場やイルミネーションだけを撮ったのでは、まだ表現の域に達していないので、あと一工夫が必要でしょう。
第三部(ネイチャーフォト)は、私としても新しい北海道を楽しみにしていたのですが、ほとんどの撮影場所が定番の場所だったので少し残念でした。広大な北海道のもっと隅々まで宝探しを楽しんで頂きたいと思います。またレンズ特性を強調しすぎた写真や野鳥などの大幅なトリミングなど、少々不自然な表現も見受けられました。
自然を表現するネイチャーフォトは、やはり自然な見せ方が一番だと思います。

第65回という節目を審査させて頂き、改めて感謝申し上げます。伝統と歴史あるこの写真道展と、北海道の写真文化が今後益々盛り上がることをお祈りしております。

審査委員長 写真家 米 美知子
<略歴>
1967年東京生まれ。1996年独学で写真を始める。
アマチュア時代には全国規模コンテストで数々の賞を受賞。
「夢のある表現豊かな作品」をテーマに、北海道から西表島まで日本の森と色彩美を撮り続けている。
著書「桜(はな)もよう」「森に流れる時間」(文一総合出版)など多数。
公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員・公益社団法人日本写真協会(PSJ)会員


<作品名をクリックすると別窓で作品が見られます。Javaを有効にして、ポップアップウインドウを許可して下さい>
第1部(自由)
一席 写真道展大賞・文部科学大臣賞 輪島 礼子 落し物
二席 北海道知事賞 岩佐 敏子 眩しい西日
二席 北海道教育委員会教育長賞 沼田 信廣 雨天でコールドゲーム良し
二席 北海道新聞社賞 大崎祐美子 二人の世界
二席 道新文化センター賞 山形 典夫 赤いハイヒール
三席 島  伸次   仮面の和顔愛語
三席 仲島 静夫   夢の架橋
三席 袰田 祥健   夕映え
三席 宮尾 一美   お散歩
三席 山田 貞司   光の季節
三席 吉田 祥子   斜光
三席 米澤三千代   before christmas

(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)

第2部(観光・産業)
一席 国土交通大臣賞 山形 典夫 幸福ゆき
二席 札幌市長賞 友広 茂夫 小春日和
二席 道新観光賞 安田 敏彦 8Bit架橋
三席   荒木 憲幸 お清め
三席   大崎祐美子 鱈乾し
三席   輪島 礼子 モナリザの微み
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)
第3部(ネイチャーフォト)
一席 環境大臣賞 山田 貞司 生きる
二席 北海道写真協会賞 藤田 昌宏 緑の檻
二席 道新文化事業社賞 安田 敏彦 シャンデリア
二席 北海道新聞野生生物基金賞 今井 欣一 朝の出逢い
三席   伊藤 博章 食する
三席   笠原智恵子 大物ゲット
三席   堰代 剛幹 斜光
三席   宮澤 龍彦 にらみ合い
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)

【巡回展日程】上記以降各地位の巡回展を行います。日程はこちらから