第66回 写真道展 入賞作品・入選者発表

【総評】審査委員長 加賀谷重雄

 道内最大の公募展である第66回写真道展は3月2日、3日の両日、北海道新聞本社会議室にて全道各地から集合した当番審査委員25名により厳正に審査が行われました。第1部1991点、第2部1298点、第3部1848点、そして今年から新設された第4部学生の部844点、総数5981点の応募でした。
 写真道展大賞は第3部、水谷晃さんの「風紋のタイミング」(摩周湖にて撮影)が選ばれました。
 摩周湖は有名な景勝地で、今まで多くの作品が発表されてきましたが、「風紋のタイミング」は「太陽」「中島」「カメラ」が一直線につながる、数少ないチャンスを逃すことなく、まさに絶好のタイミングを狙ったものでした。オレンジ色に輝く湖面の波紋が美しく、逆光が正面から差し込むシーンは太陽の光条をうまく描いており、荘厳で神々しい作品となりました。
 第1部の1席は「蒸留酒を造る女(ひと)」伊藤博章さんの作品。
 旅の目的はその土地の文化風土との一期一会にあり、新しい発見があると嬉しいものです。釜戸の赤い火、大きな鍋から立ち昇る水蒸気が印象的で、そこで作業している女(ひと)の懸命な息が感じられます。一見すると何をしているのだろう・・と、不思議な写真です。見る者(第三者)のハートへストレートに伝わってきて旅情を誘われます。
 第2部の1席は「雪中作業」渡辺勝さんの作品。
 食文化も日々変化する今般。漁場では外からの大型船による乱獲があるために不良が続き、このままでは枯渇してしまうのではないかと危惧されています。渡辺さんのこの作品はまだ暗く寒い、雪降る早朝、ホタテの稚貝を籠アミに入れ、海に戻し育てる漁業を実践しているシーン。厳しい条件の中、漁師の皆さんが力強く作業する姿を撮られていてとても見ごたえのある作品です。
 どの部門とも多種多様でありながら、新しい者への挑戦やチャレンジ・・という作者の意気込みが感じられる、まさに「コロンブスの卵」が数多く見られ、素晴らしい公募展であったと振り返ります。
 今後も伝統や歴史を大切にするとともに、北海道の写真文化へ新しい風を吹かせる先駆けで有り続けて欲しい・・写真道展にはこれからもそんな期待を抱きつつ、今回の大役を終えたいと思います。

略歴

1938年 札幌市生まれ
1976年 芦別市文化功労賞受賞
1994年 富士フォトコンテスト ゴールド賞
1997年 ニッコールフォトコンテスト ニッコール大賞
1999年 キャノンフォトコンテスト グランプリ
2001年 ニコンサロン札幌にて写真展「Nice to meet you」を開催 他写真展多数開催
2003年 勲六等単光旭日章受賞、北海道写真協会功労賞受賞 

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第1部(自由)
一席 文部科学大臣賞 伊藤 博章 蒸留酒を造る女
二席 北海道知事賞 中川 昌子 昭和のかおり
二席 北海道教育委員会教育長賞 水上 孝子 仲よし
二席 北海道新聞社賞 山田 貞司 雨上り
二席 道新文化センター賞 佐々木 歩 花冷え
三席   大坪 恵子 二重奏のスタート
三席   杉田 良二
三席   花岡 勝美 ほっと一息
三席   皆川 秀文 陽だまりの人
三席   安田 敏彦 ガッツ
三席   輪島 礼子 ジャンプ
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)
第2部(観光・産業)
一席 国土交通大臣賞 渡辺 勝 雪中作業
二席 札幌市長賞 中神 由美子 疾走
二席 道新観光賞 中川 昌子 かあさんは力持ち
三席   佐々木 歩 働き者のテントウ虫
三席   平崎 進 旗も舞う
三席   輪島 礼子 早乙女
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)
第3部(ネイチャーフォト)
一席 写真道展大賞・環境大臣賞 水谷 晃 風紋のタイミング
二席 北海道写真協会賞 鈴木 佳夫 風の造形
二席 道新文化事業社賞 齋藤 ますみ 電撃
二席 北海道新聞野生生物基金賞 安田 敏彦 猛牙
三席   小山 憲紀 こらー!
三席   白鳥 敏昭 シュカブラ
三席   林 繁造 深い森の宝石
三席   山田 貞二 光の精
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)

【巡回展日程】上記以降各地位の巡回展を行います。日程はこちらから