第69回 写真道展 入賞作品・入選者発表

【総評】審査委員長 経塚剛敏

第69回写真道展の審査は、2月26日・27日の2日間にわたり、北海道新聞社会議室において、招待審査員 水本一義氏、北海道新聞写真部長 野勢英樹氏と全道から集まった写真道展審査会員の総勢18名によって第1次審査から第5次審査まで、慎重かつ厳正に審査を行いました。
 前回写真展から応募規定が、1部門1人5点以内となったことに加え、3年続きのコロナ禍の中で作品が集まるのか心配をしていましたが、631人の方から3,390点の作品が集まり、根強い写真人気を感じました。
 写真道展大賞には、各部の1席の中から第3部(ネイチャーフォト)環境大臣賞に輝いた、札幌・伊藤正司さんの「こっちにおいでよ」を選びました。小枝に偶然鉢合わせになったカワセミとヤマセミが餌場を巡って睨み合った珍しい情景で、バックもすっきり構図も良く、これから起きるドラマが色々と想像できる素晴らしい作品で、正に秀作です。何日も通い詰めた努力が実を結んだものでしょう。
 第3部は1,035点の作品が集まりました。北海道の自然豊かな素晴らしい作品が多くありましたがもう少し新しい分野の開拓を期待したいと感じました。
 第1部(自由)文部科学大臣賞には、937点の中から札幌・平崎進さんの「影を追う・追われる影」が選ばれました。路面に写し出された花模様の中で一人の子供が遊んでいる、その影を広角レンズで誇張し、さらに遠景の街明かりを入れ構図的にもバランスよく仕上げられた作品です。コロナ禍の街、少し寂しさを感じます。
 第1部は、人物など肖像権の問題やコロナ禍のマスク姿では、応募が少ないのはわかりますが、以外に二次的加工などの冒険的な新しさのある作品が殆どなく、寂しく感じました。
 第2部(観光・産業)国土交通大臣賞には、685点の中から室蘭・齋藤ますみさんの「もう一人の私」が選ばれました。観光地で知られる地球岬、この写真の魅力は、風景の中、太陽を背に自分の影に光の輪がかかった「不思議なブロッケン現象」が現れ、そのチャンスを逃さずに撮影した素晴らしい作品です。これは、常にカメラを持ち歩くことの成果だと思います。
 1から3部の各部門を通じて、全体的に今ひとつ迫力や新しさに欠ける感じがしました。次回に大いに期待するところです。
 第4部(学生)最優秀賞には、733点の中から旭川・関蒼佳さんの「ツバキ」が選ばれました。友達のポートレートでしょう。よく見るとドレスの中に3人の顔、ツバキの花を連想させる3人の友達を配したアイディアと、この発想には驚きました。
 第4部は、スナップ写真が主ですが、自由で若いエネルギーを感じます。今後とも創造性のある作品を期待したいと思います。
 最後に、早くコロナが収まり、この写真道展がより充実して北海道の写真文化の向上に貢献できる写真展として、ますます発展することを期待しています。

1937年 根室市生まれ 1980年から石狩市在住    2013年 個展「北の浜村」東川町・石狩市・留萌市開催
2002年 写真道展審査会員推挙           2014年 個展「北の浜村」増毛町開催
2004年 フォトマスターEX(エキスパート)取得         各種カメラ雑誌及び全国各種コンテスト入賞・入選多数
2012年 個展「北の浜村」銀座・札幌開催
     写真集「北の浜村」日本写真企画社出版

<審査員>
◇審査委員長 経塚剛敏
◇招待審査員 水本一義(写真家)
武藤省吾・片村洋市・加賀谷重雄・中野芳生・河江利幸・美濃英則・中野潤子・駒井千恵子・奥野時夫・坪川輝子・増田輝敏・山本敏雄・山本康雄・大平博雄・吉仲功・上田正洋・田本實・秋山寿子・馬場和美・川原静夫・山本隆晟・奈良美弥子・野勢英樹(道新写真部長) 
<作品名をクリックすると別窓で作品が見られます。Javaを有効にして、ポップアップウインドウを許可して下さい>
第1部(自由)
一席 文部科学大臣賞 平崎 進 影を追う・追われる影
二席 北海道知事賞 齋藤 ますみ 幸せくらべ
二席 北海道教育委員会教育長賞 浦崎 毅子 パパとおひる寝
二席 北海道新聞社賞 鳴海 明 ちらっと
二席 道新文化センター賞 武石 和美 守っていくよ
三席   猪口 信幸 傘のある窓
三席   片岡 眞弓 灯ろうに思いを
三席   佐野 ミヨ Dark Fire
三席   塩浜 郁夫 秋のおしゃれ
三席   髙橋 あや子 僕と弟
三席   鳥海 政史 嫁入り
三席   森田 正義 晩夏の花火
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)
第2部(観光・産業)
一席 国土交通大臣賞 齋藤 ますみ もう一人の私
二席 札幌市長賞 木村 雄一 朝陽と共に
二席 ニトリ賞 掛村 一憲 喜びの収穫
三席   上口 建作 万華鏡の世界
三席   谷岡 隆 霧氷牧場
三席   吉田 清治郎 二人の夏休み
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)
第3部(ネイチャーフォト)
一席 写真道展大賞・環境大臣賞 伊藤 正司 こっちにおいでよ
二席 北海道写真協会賞 松本 久子 クワッ!
二席 北海道新聞野生生物基金賞 浦崎 毅子 チングルマ笑う
二席 ニコン賞 小田島 哲世 雪洞の氷塊
三席   筬井 敦子 晩秋の流れ
三席   小山 博寿 銀河に羽ばたけ
三席   齋藤 ますみ 月出頃
三席   栃元 幸一 冬の甘味処
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)
第4部(学生の部)
最優秀賞 関 蒼佳 ツバキ
優秀賞 髙野 涼太 見える先には
優秀賞 高橋 彩芽 囚われの少女
優秀賞 百々 穂高 Rail
優秀賞 百々 柚花
優秀賞 八木 大空 飛行「輝」
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)

<巡回展>

・岩見沢市民会館 5/27〜5/29 ・名寄市民文化センター 8/11〜8/17
・室蘭市民美術館 6/2〜6/5 ・旭川デザインギャラリー 8/20〜23
・苫小牧市文化交流センター 6/9〜6/12 ・市立小樽美術館 8/31〜9/4
・羽幌町立中央公民館 6/16〜20 ・根室市総合文化会館 9/10〜9/13
・釧路市生涯学習センター 7/13〜7/17 ・北網圏北見文化センター 9/21〜9/25
・別海町中央公民館 7/28〜7/31 ・函館市芸術ホールギャラリー 11/24〜11/27
・三笠市民会館 8/6〜8/8 ・網走市立美術館 12/17〜1/15