第72回写真道展 入賞作品・入選者発表

【総評】研ぎ澄まされた空間と色彩

 写真の役割は記録、伝達、表現とさまざまで、対象もミクロの世界から宇宙まで幅広い。写真道展に寄せられた3409点の力作を17人がそれぞれの物差しで厳正に審査し、入賞・入選を決めました。
 写真道展大賞・文部科学大臣賞は第1部(自由)の横山瑛美さんの「雪に眠る軌道の記憶」が選ばれました。研ぎ澄まされた空間と色彩に絶賛を博しました。夢を乗せて走る列車は銀河に向かって出発進行ー。
 1部は多様性に富む作品が集まりましたが、2次的加工や絵画的表現、五感に伝わるものが少なかったことは残念でした。
 第2部(観光・産業)の国土交通大臣賞、飯高光紀さんの「追い込み」は、ビル風が吹く真夜中に働く人たちの声や騒音、寒気が伝わってきます。寸刻を惜しむ労働者がたくさんいることを再認識しました。2部の応募作は伝統行事や産業、観光地など昔からあまり変わりません。もう一歩踏み込んだ工夫が望まれます。
 第3部(ネイチャーフォト)の環境大臣賞、渡部啓二さんの「美・Silent」。静寂の水面に映るダイサギは、計算された秀作です。
現地に通い続けたたまもので、天地を変えても自然の素晴らしさが伝わってきます。温暖化が進み、すみ分けが変わったからなのか、ハクチョウやツル、アザラシ、オオワシなどの作品が減り、変わって身近な鳥や昆虫が多くなりました。
また、写真ツアーの作品は以前に比べ減った感じがしました。
 第4部(学生)の最優秀賞、佐藤涼音さんの「オーバーヒート」は、鋭い眼光から現代社会のあり方を見つめているようで、深く伝わりました。見ることは見られていることとの相対関係にあり、この作品から絵画表現を試みて楽しんで下さい。
全体的に学生らしい大胆な作品が減り、おとなしい表現が多い気がしました。

 

審査委員長 大崎和男(おおさき かずお)

1939年(昭和14年)十勝管内清水町生まれ。
元北海道写真協会副会長。
写真協会功労賞、協会賞など受賞。
道展会員として絵画の表現活動にも取り組む。
大崎ミュージアム主宰、十勝管内新得町在住

<作品名をクリックすると別窓で作品が見られます。
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第1部(自由)
一席 第72回道展大賞・文部科学大臣賞 横山 瑛美(滝川市) 雪に眠る軌道の記憶
二席 北海道知事賞 阿部 和文(音更町)  金色に駆ける 
二席 北海道教育委員会教育長賞 谷内 純哉(三笠市)  タイムスリップ
二席 北海道新聞社賞 小田嶋 清幸(苫小牧市)  けあらしのサーファー
二席 ニコン賞 吉井 良平(伊達市)   気迫 
三席   見野 則幸(札幌市) 鑑定中
三席     小池 隆(帯広市) 日溜まり
三席    伊藤 建夫(帯広市) 心一つに積
三席    塩浜 郁夫(北見市) 秋のまなざし
三席    朝倉 俊雄(函館市) 蒼い精霊
三席    宇都宮 和雄(函館市) 出場準備
三席    一條 周一(小樽市) 静かな湖 
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)
第2部(観光・産業)
一席 国土交通大臣賞 飯高 光紀(森町) 追い込み
二席 札幌市長賞 牛田 博克(室蘭市) クルーズ船歓迎
二席 ニトリ賞 河野 仁志(札幌市)  阿吽の呼吸
三席   見野 則幸(札幌市)  燃える神輿
三席   福馬 雅之(江別市)  炭焼き職人
三席   大場 範子(苫小牧市)  漁網洗い
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)
第3部(ネイチャーフォト)
一席 環境大臣賞 渡部 啓二(七飯町)   「美・Silent」
二席 北海道写真協会賞 大井 輝美(岩見沢市)   つ・な・ぐ
二席 道新文化センター賞 西山 豊洋(江別市) 秋日和
二席 北海道新聞野生生物基金賞 佐藤 祐子(旭川市) 異星人
三席   岡内 孝一郎(滝川市)  春雨
三席   横山 瑛美(滝川市) ママにまっしぐら!!
三席   藤田 昌宏(札幌市) 凝視
三席   岩渕 隆(旭川市) 秋思狐
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)
第4部(学生)
最優秀賞 札幌創成高校 佐藤 涼音 オーバーヒート
優秀賞 旭川西高校 上田 栞愛 夜の彩り
優秀賞 札幌東陵高校 片倉 流星 冬の芦別を駆ける
優秀賞 北広島高校 我満 俊介 妖狐
優秀賞 北広島高校 髙橋 芽衣花 静観
優秀賞 札幌創成高校 新谷 海空 デジタル
【巡回展日程】道内各地の巡回展を行います。